株式会社はてなにGoogleのサービスを使ったメディア運営のノウハウと急伸しているネイティブ広告について聞いてきました

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日本のインターネット黎明期からユーザー参加型のメディア企業として成長を遂げてきたはてな。「はてなブログ」「はてなブックマーク」「人力検索はてな」など多くのメディアを運営しているはてなに、メディアマネタイズのノウハウと、最近話題のネイティブ広告について聞いてきました。

まずはじめに、株式会社はてなと、はてなが提供されているサービスについて教えてください

株式会社はてなは、2001年に京都で設立した創業14年目のインターネット企業です。創業時からインターネットメディアを数多く運営し、最近ではそれらのノウハウを活かしたBtoBの分野にも事業を広げています。

はてなという会社を一言で表すと、「ユーザー向けのメディア運営を基軸としたテクノロジー会社」といえると思います。最近はBtoBのビジネスにも参入をしていますが、そのすべてが私たちがこれまでメディア運営で培ってきたノウハウを活かした事業なので、会社の根幹はやはりメディア事業にあると考えているからです。

はてなでは、現在様々なサービスを提供しています。代表的なメディアとしては、「はてなブログ」「はてなブックマーク」があり、BtoBのサービスでは、「はてなブログMedia」「ネイティブ広告」「BrandSafe はてな」などが代表的なサービスです。

現在はてな全体では月間2億PV、4500万人のユーザーさんに利用いただいています。ユーザー層としては、30代から40代の男性ユーザーが多めでITリテラシーが高いのが特徴で、IT関連企業のエンジニアさんに数多くご利用いただいています。

はてなが大切にしている世界観、それは「ユーザーファースト」

多くのメディアを運営する中で大切にしているポリシーなどはありますか?

はい、私たちがメディアを運営する上で大切にしているポイントが2つあります。

1つ目は「嘘をつかない」ということです。
これは広告とコンテンツの境目をなくしたり、わかりにくくしたりせず、ユーザーさんにとって必要な情報をきちんと隠さず伝えていくということです。たとえば、最近はネイティブ広告の分野で、ノンクレジット問題というものがよく話題に上がっていますが、私たちは、ネイティブ広告でのクレジットはもちろんのこと、記事広告でも、ページヘッダー、記事リード、そして末尾にまでクレジット表記を入れています。これはユーザーさんにとって大切な情報をきちんと伝えていくことが最も大切なことの1つであると考えているからです。

2つ目は「ユーザー体験」です。
私たちが販売している記事広告やネイティブ広告は、原則お客様の記事のページにしか飛ばさないようにしています。たとえばネイティブ広告の中には、フィード内の広告をクリックしたらApp Storeに飛んだりするものもあると思いますが、私たちが「はてなブックマーク」内で販売しているネイティブ広告は、必ずはてなの中で展開しているクライアントさんの記事広告、もしくはクライアントさんが運営されているオウンドメディアの記事にしか飛ばさないようにお願いしています。これは、記事を読むモチベーションで、はてなブックマークを訪れているユーザーの体験を、広告によって阻害しないためです。

また記事広告では、自社でかかえている「はてなニュース」の編集部がコンテンツ作成を行います。広告なのに楽しく・興味深く読んでいただける記事を目指しており、これも良質なユーザー体験を阻害しないためにこだわっている点です。

私は日々多くの広告事業者様からご提案を受けますが、残念ながらユーザー体験のことをあまり考えてない提案が多いことも事実です。「ここにも広告枠を新設しましょう」「こうすればもっと収益が上がります」「もっと広告をクリックされやすくしましょう」といったご提案は、もちろん中には良いご提案もあるのですが、一方でユーザー体験を阻害するデメリットをどのくらい考えてご提案いただいているのかなと思う時も正直あります。逆にそこまで考えてご提案いただける事業者さんは、すごく信用できますし、はてなとしても長くお付き合いできると思っています。

DoubleClick Ad Exchangeを使った最先端の広告運用事例

これまで御社でおこなってきた広告マネタイズの歴史について教えていただけますか?

メディア運営をスタートした当初は、Google AdSenseを使っていました。その後、社員も増えてきてバナー広告やテキスト広告の純広告メニューを作って広告営業をはじめました。この当時は、広告枠ごとに、この枠は純広告、この枠はGoogle AdSenseと区別をしていました。そのため、純広告の枠が埋まらなければ、そこにはGoogle AdSenseは流さずに自社広告を配信していました。

その後、現在では多くのメディアさんでやられている純広告とGoogle AdSenseを1つの枠で混ぜて配信するように変化し、現在に至ります。

御社はGoogleさんをかなり活用されていると思うのですが、なぜGoogleを選んだのですか?

実は、フロアープライスを切って、その単価以上ならGoogle以外の会社を流すといった取り組みや、他社のアドネットワークさんやSSPさんの利用など、いろいろとテストはやってみたのですが、やはりGoogleは単価が圧倒的に高いので、結局はGoogleに戻りました。

もう少し詳しく背景をご説明すると、実はいろいろなネットワークを混ぜて配信する方法は、頑張ればGoogleと肉薄するくらいまで収益性はあげられたのですが、インプレッションの欠損や広告管理がとにかく大変だったので、結局管理コストを考えると、Googleのプロダクトをキチンと使っていくほうがいいという結論になりました。現在は、Googleのメディア向けのサービスの中でも、より運用の汎用性が高いDoubleClick Ad Exchangeを使っています。

最近ではプライベートマーケットプレイス(PMP)などの取引も一部で始まっていますが、御社ではどのように販売されているのでしょうか?

Private Auctionに関しては、基本的にDSPさんからのオファーを断ることはなく、高く配信いただけるものは配信しています。一方でPreferred Dealに関しては、そこまで多くの案件を頂けていません。「BrandSafe はてな」で協業をさせていただいているFreakOutさんとは一部少しだけやっていますが、その他の事業者さんとのお取組みはあまり出来ていません。

なぜPreferred Dealはあまり販売できていないのでしょうか?

もちろん積極的にPreferred Dealを活用し販売を促進していきたいのですが、今の広告市場だとPreferred Dealを販売する以前に、OpenRTBとPrivate Auctionの運用をきちんと行うだけで収益性を高められる可能性があることがわかりました。DoubleClick Ad Exchangeを使われている方はご存知かと思いますが、現在のDoubleClick Ad Exchangeでは、フロアプライスといっても非常に多くの切り口があるんです。OpenRTBのフロアプライス、Private Auctionのフロアプライス、それぞれ買い付け事業者や条件ごとにもフロアプライスを設定することができます。昔はフロアプライスというのはシンプルだったわけですが、現在は非常に複雑な価格設定を行うことができるようになりました。この結果、フロアプライスを最適化することで、より高い収益性を得られる可能性がでてきているわけです。

弊社では、ほぼ毎日データを見ながらフロアプライスのテストを行なっています。約定率を見てあまり買われていないところはフロアプライスを下げたり、逆に競争率が高いところはよりオークションプレッシャーを高めるためにフロアプライスを上げたり、様々な運用をしています。たとえばある枠の最低落札価格を2倍にすると、当然約定率は落ちるはずなのですが、テストを実際に行なってみると結果ほぼ変わらず収益性が数十パーセント改善したということもありました。これは当然すべての条件で当てはまるわけではありませんが、このように自社の枠の価格運用を適切に行うことで、より収益性が高められる可能性がまだまだあると考えています。

だからといって、Preferred Dealをやらないというわけではなく、市場の成長に合わせながら他代理店さんへ媒体認知、積極提案も進めていければと思っています。

編集部注釈

上記でご紹介いただいたPrivate AuctionやPreferred Dealという概念は、インターネットの新しい技術や方向性を取り決めるアメリカのIABという機関が定義している4つの取引方法に基づくものです。

PROGRAMMATIC AND AUTOMATION – THE PUBLISHERS’ PERSPECTIVE

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また、adingoではGoogle AdSenseに加え、DoubleClick Ad Exchangeの導入支援もスタートしております。DoubleClick Ad Exchangeを使った広告マネタイズにご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

DoubleClick Ad Exchangeを活用してメディアの広告収益を最大化する|株式会社adingo

※今回インタビューにお答えいただきました株式会社はてな様は、弊社が提供しているDoubleClick Ad Exchangeの導入支援事業の事例ではございません。

市場が求める最先端のニーズが、これまで作ってきた自社の強みとうまくマッチした

ネイティブ広告や記事広告が好調とお聞きしましたが、具体的にどこが他社と違うのでしょうか?

弊社が販売しているネイティブ広告は、「はてなブックマーク」内にあるインフィード型のネイティブ広告です。弊社のネイティブ広告をご支持いただいている理由はいくつかありますが、はてなブックマークがつきやすくなるという点が他社さんとの違いだと思います。はてなブックマークが多くつきやすいと、広告以外からの流入が増え、はてなブックマーク内のホットエントリーに入った場合には爆発的に流入数が増えることになります。そうなるとFacebookなどのソーシャルメディアや、キュレーションメディアでの露出も増えやすくなります。最近では、各社さんがコンテンツマーケティングやオウンドメディアなどをされていますよね。そこでは多くの露出を求められるわけですが、弊社のネイティブ広告をたくさんの方々にご支持いただいている理由は、コンテンツマーケティングの市場ニーズと、はてなブックマークの高い露出力を活用した広告商品がうまくマッチしているからだと思っています。

記事広告は、実は昔から販売を行なっていました。先程も申し上げたとおり、弊社の記事広告は、はてなニュースの編集部が1本1本高い品質で仕上げているので、クライアントさんからの評価も高く、リピートも多くいただいています。はてな編集部は、柔らかいトーンで専門的なことを書けるので、クライアントさんが伝えたい専門的なことも、ユーザーさんが面白く読めるコンテンツに変えて発信することができます。これもコンテンツマーケティングと呼ばれるものの台頭と、弊社がこれまでこだわって行なってきたことがうまくマッチした結果だと思います。

これまでのメディア運営で培った自社の強みをアドテクの商品に転換していきたい

今後興味のある分野はありますか?

レコメンドエンジンです。リリースに向けたテスト版はすでに完成しています。はてなブックマークが持つ、本文情報やタグ情報を活用することで、他のレコメンドエンジンと差別化を図っています。

レコメンドエンジン以外にも、はてなブックマークの情報やノウハウをうまく使ってアドテク領域にはチャレンジしていきたいと思っています。最近の事例では有害コンテンツへの広告配信を防ぐ「BrandSafe はてな」というサービスをリリースしました。これは違法サイトやアダルトサイトの判別をはてなブックマークのデータを使って行なっています。現在販売も好調で多くの広告主さまにご利用いただいています。このように自社メディアで培った強みをアドテク領域に転換していくような事例を増やしていきたいと思っています。

広告事業者への要望などがあれば教えて下さい

1つ目は、先ほど申し上げた良質なユーザー体験と広告収益のバランスを保った、良いご提案をいただけると嬉しいということですね。

2つ目は、よく「これくらいのCPM出ます!」とご提案をいただくことがあるのですが、蓋を開けてみると全然シミュレーション通り出ていないといったことがかなりあって、実はこれが少なからずSSPさんやアドネットワークさんへの不信感につながっている部分もあると思います。メディアと広告事業者の皆様がお互いにリスクとリターンを取れる前向きなご提案やテストをしたいと思っています。

最後に一言メッセージをお願いします

現在営業チームは9名のメンバーがいるのですが、メンバーを積極募集してます。自由な社風と働きやすさには自信があるので、ぜひ興味があればお気軽にご連絡ください。

 

今回インタビューを受けてくださったのは・・・

株式会社はてな

事業開発部 部長 大久保 亮太 さんです。

貴重なお話を頂き、ありがとうございました。

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