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インドで「ad:tech New Delhi」に参加してカレーを沢山食べてきました!

2017.03.24 1120view

株式会社fluct海外事業戦略室室長の鷹嘴です。今回は2017年3月9-10日の日程で開催されたad:tech New Delhiに行ってきました。僕はインドに来るのは初めてで、もうすぐ人口が中国を抜いて世界最大となることが確実視される歴史あるこの国で、人々はどんな生活をして、どんな広告エコシステムが成り立ち、デジタル広告市場では何が起こってるのか、短い滞在で少しでも理解できればと思い、ad:tech New Delhiに参加しました。

ad:tech New Delhiの開催地はインドの首都、ニューデリーから1時間ほど離れたハリヤーナー州にあるグルガーオンという都市です。CyberHubというハイテク企業や広告会社が集まるエリアがあり、SnapdealのオフィスがあったりとITを中心に盛り上がりを見せる街です。まだまだ開発がされてない道の途中に突如現れる近代期なビル群は圧倒的な迫力でした。

インドの基本情報

まずはインドについて、簡単に2015年の経済指標や広告市場規模をを日本と比較してみたいと思います。僕が小学校でインドについて習った時は人口は9億人くらいだったと記憶しています。しかし今や中国を追い抜く勢いで成長しており、それに伴ってGDPや広告市場も伸びてきています。

インド 日本
人口 13億人 1.2億人
GDP 2兆USD (230兆円) 4.3兆USD (495兆円)
1人あたりGDP 1,539USD 35,800USD
広告市場 63億USD (7,200億円) 395億USD (4.5兆円)
ネット広告市場 7億USD (800億円) 97億USD (1.1兆円)
モバイル広告市場 1.2億USD (138億円) 38億USD (4,300億円)

1USD=115円で計算
World Bank 2015
eMarketer 2015

今回成長率が分かる数字は用意していませんが、経済の成長予測、デジタルの普及率などを考慮すると、2020年までに圧倒的な勢いで市場が伸びていくことが期待されます。

僕は2012年から2016年まで上海に駐在していましたが、中国の経済が成長し、人々の生活が大きく変わり、テクノロジーが進化してきたのを肌で感じてきました。僕が上海に赴任した時よりもさらに前から上海を知る友人に今回の出張の写真を送ったところ「20年前の中国だね」という反応が返ってきました。インドが今のペースで経済成長していくと、20年後の2036年には今の (2016年時点) 中国のようになるというポテンシャルを持つ国だと思います。その中国もインド市場には注目してるようで、中国検索最大手Baiduを始めとする中国企業のブースがいくつか目につきました。僕が中国でビジネスをしてたときは、欧米企業、韓国企業、日系、そして中国企業との激しい競争がありましたが、このポテンシャルの高い市場を巡ってここインドではより激しい競争が繰り広げられそうです。
今回のイベントはROYAL BALL ROOMとMAPLE BALL ROOMにて並行で開催されるセッションと、有料と無料のブースエリアに分かれていました。ブースエリアは盛況で多くの人で溢れていました。僕は初日をROAYL BALL ROOMのセッションを聞いて、2日目はセッションに参加しつつもブースを回って各社の話を色々と聞いてきました。まずはセッションで気になった点をいくつか紹介したいと思います。

インドのアドテク全体感

セッションはインドローカルの話よりもグローバル企業のスピーカーが、欧米のケースやトレンドを紹介する内容が多かったです。ad:techはインドでは5回目の開催だそうで、5-6000人規模の人が参加していました。僕は初めてでしたが、過去参加してた方もローカルの情報よりもグローバル寄りだったと感じていたみたいです。両日共にキーノートはやっぱりお面白くて、いくつか内容を取り上げてみたいと思います。

まずはイギリスのFMCGの会社、Reckitt Benckiser社のセッションです。タイトルは“Turning Media Complexity into a Business Opportunity”で、日本語に訳すと「複雑化するメディアをどうやってビジネスの機会に変えていくか」といったところでしょうか。広告主側から見たアドテクへのアプローチです。2016年にNew Yorkで開催された、Programmatic i/oでもAmexLinkedinなどの広告主側からのプレゼンがありましたが、本質は一緒で、複雑化するデジタルマーケティング環境下で、いかにして効率的かつ多くの自社が求める消費者にアプローチするか、というものです。市場はより複雑になってきいるという序盤から、結果的にDMPが重要という話に繋がっていきました。1st Partyデータと2nd Partyデータをベースに自社にマッチする消費者像をモデリングして、3rd Partyデータと組み合わせることでリーチ (量) と関連性の高いオーディエンス(質)にアプローチすることが必須であると。とにかくデータドリブンでやりましょう。しかし何でもかんでもできないので、優先順位をつけてやりましょう、というのが大枠の内容です。

パネルディスカッションの様子パネルディスカッションの様子

ちょうどインドに来る前にシンガポールでとある調査会社の社長と会食をしたのですが、マーケティングリサーチにおけるサンプリングのモデルが通用しにくくなってる旨の話をされていました。それは企業が以前よりもデータを保有するようになり、従来型のサンプル調査で、例えば1000サンプルを対象とした調査結果と企業が保有する実データが一致しなくなってると。マーケティングの手法が大きく変わってきてるのを実感する出来事の連続です。

話を戻しますが、その後のセッションでも、マーケターは大きく変化していく消費者、そして変化を起こすテクノロジーを前にして、変わらないとけないという内容が多くありました。VR、AR、AI、Robot、IoT、このあたりは日本でもバズワードですが、こういった新しいテクノロジーが今まで成功してきた古いマーケティングフレームワークを破壊し、通用しない時代が来るので、技術と共に変化する消費者の行動をしっかり理解するために変わる必要があるようです。そして人材が圧倒的に足りてないので、組織的にどう育成するか、そんなセッションもありました。
また、動画を中心として、ブランド系の広告主が予算を大きくデジタルに向けてくるので、数年でブランド系がパフォーマンス系(獲得を目的の出稿)を大きく上回るというデータを見せるアメリカのアドテクベンダーのセッションもありました。

サンフランシスコから遠隔でプレゼンするスピーカーサンフランシスコから遠隔でプレゼンするスピーカー

インドっぽいセッション

インドでもad-blockingは問題になってるようで、業界でも関心の大きいテーマだと思われます。スピーカーの方が使っていた、”Responsilble advertisding”というのが本質だと思います。「責任ある広告」といったところでしょうか。ユーザーが無料でコンテンツにアクセスできるのは広告が存在してるという点を分かってないからという視点もありましたが、コンテンツとユーザー導線における文脈、そして広告、これらは密に絡み合っているので、うまくバランスを取る必要があると感じます。今後もビデオ広告の普及によって広告とコンテンツの文脈がよりいっそう重要になってくると僕も感じます。

また2日目のキーノート、Times Internet社のCEOのセッションが面白かったです。Times Internetはインドのメディア企業として始まり、今はデジタルメディアだけではなく、デジタル「プロダクト」を扱う会社になりました。メディアとして多種多様なコンテンツに対応するために、バーティカルメディアを作り、相互のトラフィックを流すことでユーザーを囲い込む。マネタイズは自社でアドサーバー作って広告配信する。より広告主が細かいターゲティングできるようにデータもしっかり提供する。ここから分かるのはパブリッシャ側のテクノロジーを応用する力がすごく強いということだと思います。コンテンツの提供のみならず、マネタイズするためのテクノロジーやデータフィードといった機能を持ち合わせている。確かにデジタルメディアと呼ぶよりは、デジタルプロダクトを提供する、と言ったほうが実態に合っていると思います。

その他に、インドではテクノロジーが経済発展の段階をスキップするリープフロッグ現象が起こる可能性が大きくあると思います。また中国の話にとなりますが、中国ではWeChatというメッセンジャーアプリを通じてC2Cでのモバイル決済が可能です。経済が発展する過程で、いろんな法律や仕組みが整備される前にWeChatのようなテクノロジーが入り込み、最も世界で便利で早い決済インフラを整えてしまったのです。こういったことがインドでもテクノロジーによって起きる可能性は十分にあると思います。現にPaytmの決済や、Uberが利用できますし、人々はWhatsAppを当たり前のように使っています。僕が大学生の時に高いお金を払って購入した電話加入権なんてものは今は必要ないのです。ところであの権利はどこにいったのだろう。

また、欧米企業の進出、インドローカル企業の台頭、中国マネーの流入とテック領域における競争は、冒頭でも伝ええましたが、前代未聞で激しくなることが予想されます。すでにECの領域では徐々に差が出てきているようですが、ビジネスパフォーマンスにシビアなインド市場では技術やサービスレベルにおける本質的な土俵で勝者が決まるような感じがします。

ブースの様子

ブースの様子を簡単に紹介します。ブースはインドの現地企業が50%、欧米30%、中国企業10%、その他10%といった感じです。アプリマネタイズやモバイルアドネットワークへのグローバルリーチが可能です、といったアプローチをしている企業が多い印象でした。

御社の強みはなんですか?と質問すると「ターゲティング」だ、と異口同音に答えます。DSPのようにプロダクトがコモディティ化しやすいレイヤーだと、ターゲティングの精度やデータのユニークさが肝になるのは間違いありません。イスラエルの企業などもブース出展しており、特許で保護されたアルゴリズムを武器に同じようにグローバルリーチを売りにブースは大盛況でした。日本からはアドウェイズ社がブース出展していました。日本人は数人だけ参加していたように思います。

インドカレーについて

最後に、インドといえばインドカレーなので、カレーについて書きます。インドには移動日も含めて4日間滞在していましたが、食事は美味しかったです。僕はインドに行く前に「全部カレー味だから」と聞かされていました。確かにインドの食事のメインはカレーのですが、全てがカレーなわけではなく、スパイスをほとんどの料理で使うので、全体がカレー味のような伝わり方になっている気がします。しかし正確にはスパイスを使った料理が多く、カレーはその中のメインの一つになります。カレーは濃厚で深みがあり、ナンと一緒に食べると本当に食が進みます。4回くらいカレーを食べましたが、全て美味でした。今回の出張では絶対に体重を増やさないと気をつけていたのですが、ばっちり2kgくらい増えていました。

これでad:tech New Delhiのレポートは終わりです。1月からfluctにジョインして、アジアの主要国を回ってきましたが、インドが一番インパクトありました。初めて訪問する国っていうのはいつもワクワクしますよね。今後も海外ネタで面白そうなのがあればまた記事にしたいと思います。

ライターの紹介

鷹嘴 昌弘

鷹嘴 昌弘

株式会社fluct 海外事業戦略室室長。 2008年に株式会社ECナビ (現VOYAGE GROUP) にWEBデザイナーとして入社。メディア開発、5年間の上海駐在、中国子会社役員、株式会社リサーチパネルエイジア (現: dataSpring) の代表取締役を経て、2015年に事業売却と共に株式会社マーケティングアプリケーションズに転籍。2015年7月より同社取締役に就任。2017年から株式会社fluctの海外事業戦略室室長として海外事業開発に従事。

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