PROGRAMMATIC I/O SAN FRANCISCOレポート 前編:DAY1

2017年4月4日、5日と2日間に渡ってサンフランシスコで開催されたPROGRAMMATIC I/O SAN FRANCISCOに株式会社fluct 執行役員の今井と、海外事業戦略室室長の鷹嘴が参加してきました。1日目は「PROGRAMMATIC ESSENTIALS WORKSHOP」と「PROGRAMMATIC OPS TALKS」というテーマごとに2会場に分かれて開催され、2日目は終日を通し1つの会場で、プログラマティック業界の豪華なスピーカーによるプレゼンやセッションが行われました。

主なTOPICS

今回話された中で注目すべきトピックスは次の4つです。

RTB(プログラマティック)は次のステージへ
マーケティングファネルのより上位awarenessへのアプローチを実現していく
  • マーテック(martech) × アドテク(adtech)
  • ラストクリックを追いかけるモデルの危うさ
  • デバイス横断でのアトリビューションの重要性
リアルでの購買行動へどう繋げられるか
透明性と安全性
ベンダーの透明性と価値
Fraud対策やViewability保証が強みへ
データの整理と理解と活用
ビジネスサイド業務でのSQL活用
2ndPartyDataを用いたPMP
S2S(サーバートゥサーバー)
ヘッダービディングもクライアントからサーバーサイドへ
GoogleもEBDAで対抗

いずれもプログラマティックの次の未来を予測するのに重要な要素です。上記に留意しながら多角的な視点を意識しレポートを読んでいただけると、より深く理解頂けると思います。
それでは詳細なレポートに移って行きたいと思います。今回はDay1の前編、Day2の後編の2部構成でお届けしたいと思います。まずはDay1の前編レポートからご覧ください。
DAY2のレポートはこちらから

DAY1

ESSENTIALS / 株式会社fluct 海外事業戦略室室長 鷹嘴昌弘

ESSENTIALSの内容は以下のタイトルでした。

  • Best Practices On Bringing It “In-House”
    “インハウス”導入のためのベストプラクティス
  • How To Boost Marketing Efficiency With A Platform Approach
    プラットフォーム活用でマーケティング効率を高める方法
  • How To Power App Revenue With First Party Data And Programmatic
    1stPartyDataとプログラマティックでアプリ収益を上げるには
  • How To Integrate Programmatic Into An Existing Sales Culture And System Infrastructure
    既存の営業組織とシステムインフラにプログラマティックを統合する方法
  • B2B Programmatic Goes Mainstream – Are You In Yet?
    B2Bプログラマティックはメインストリームへ ー まだ始めてないの?
  • How To Buy Programmatically With Snapchat
    Snapchatを使ってプログラマティックに出稿する方法
  • What To Look For When Measuring And Optimizing TV Today
    今日のテレビを計測し最適化する際に探るべきもの
  • Beyond Validation: Metrics That Matter For True Effectiveness
    検証を超えて:真の有効性を左右する指標
  • How To Sunset Traditional PMP Deals And Increase Yield
    トラディショナルなPMP取引を終わらせ、収益を向上させるには
  • Programmatic-As-A-Service: What You Need To Know
    サービスとしてのプログラマティック: あなたが知るべきこと
  • The Little Black Book Of Attribution
    アトリビューションの秘訣

「プログラマティックとは何か」「いかにして『組織』で実行可能な体制を構築するか」 この2点がDay1で語られていた本質だと思います。

タイトルを見てお分かりの通り、プログラマティックの全容と、それにどう適応するのかといった内容が多かったです。またクリエイティブの重要性を説くスピーカーも多数いました。こうした内容を聞き、プログラマティック広告が広告主、エージェンシー、パブリッシャーにとってまだまだ浸透しきってないような印象を受けました
一方でプログラマティックという言葉を再定義するスピーカーも何人かいました。これは2日目でも見られたことです。プログラマティックの定義は様々あると思いますが、僕が考えるプログラマティックの定義は、次の点を可能にする広告取引形態のことだと思っています。

  • リアルタイムなオーディエンスへのアプローチ
  • 出稿プロセスの自動化
  • 精度の高いオーディエンスターゲティング
  • データドリブンなマーケティング

プログラマティックに広告を運用することによって、このようなメリットがあると理解はできても、それを組織で実行することは想像以上に難しいです。そこでIntelのインハウス化の事例が参考になると思います。そのポイントは次の5点です。

Promise (goal, big picture): チーム内でGoalを共有する。
Technology model: テクノロジーのモデルを理解する。つまりどのベンダーのどのサービスがどんな価値を提供し、何と影響し合うか。
Service model (自社の) principal, culture: 自社の企業文化を理解する。データ・ドリブンなのか、慎重な検討が必要なのか、実行できる人材はいるのか。
  • グローバルに対応するソリューションを使う
  • リージョンコントローラビリティ
Wrapping up business cases: 関わる人が仕事の意味や結果をしっかり要約して次につなげること (かなり意訳しています)
Find peeps:仲間を見つけること。コンサルタントやアドテック専門化。インハウス化するためにはマネージメントチームへの説明が必要だから。

どこの会社もプログラマティックを実行できる人材は不足しているようで、今後プログラマティックな手法が普及するためには、人材の育成や優秀なエージェンシーの増加など、リソースの供給が課題になりそうです。

OPS TALKS /株式会社fluct 執行役員 今井悠介

OPS TALKSの内容は以下のタイトルでした。

  • How To Solve For Server-To-Server
    サーバートゥサーバーを解き明かす
  • Ops For Outstream Video
    アウトストリームビデオのためのオペレーション
  • Beyond The Mobile Bid-Stream
    モバイル入札の向こう側
  • The Past, Present and Future of Marketing Attribution
    マーケティングアトリビューションの過去、現在、そして未来
  • The Keys To Creative A/B Testing
    ABテストの鍵となるもの
  • Optimizing Revenue with Media Data, BigQuery and Cloud Architecture
    メディアデータ、BigQuery、クラウドアーキテクチャを使った収益最適化
  • Why Mapping And Normalization Matter For Programmatic Reporting
    プログラマティックレポーティングのためのマッピングと正規化のメリット
  • DMP Operations: Getting More Out of Your Data Strategy
    DMPの運用:データ戦略をさらに進化させる
  • Best Practices For Increasing Bid Density
    入札単価を高めるベストプラクティス

OPS TALKSはより実務、運用に関するセッションを中心に展開されました。話題のS2S(Server-To-Server)配信やヘッダービディング、アウトストリーム広告についてのトピックスや、クリエイティブのABテストの実現、マーケティングアトリビューションの考え方とアドテクノロジーの活用、データの整理と可視化、2ndPartyDataを活用したPMP、プラットフォームと協力したマネタイズ方針の見直しなど、内容が非常に多岐にわたっていました。


OPS TALKSは以下のようにまとめることが出来ます。

最新のテクノロジーを使ったマーケティング(マネタイズ)の最適運用
header bidding & EBDA
Server to Server vs Client to Server
Video advertising
Viewable & human traffic
Dataを収集し、整理し、活用する基盤と体制をつくる
SQLの活用によるワークフローの効率化
Data利用による広告配信の価値向上
パートナーシップの重要性
信頼性・透明性のある取引先を見つける
パブリッシャーとベンダーと広告主の連携

日本でも拡大を続けているアウトストリーム広告をグローバルで展開するTeads社は、次の6つの観点でインストリーム広告に比べたTeads社のアウトストリーム広告の素晴らしさを語っていました。

  • FloorPriceCPMが安い
  • 再生完了率が高い
  • CPCV(再生完了単価)が安い
  • 2秒ビューアブル率が高い
  • ビューアブルimpにおける再生完了率が高い
  • ブランドリフトへの貢献

また、ヘッダービディングやネイティブビデオ広告、ユニファイドオークションへの対応など、最先端の機能も取り揃えることで動画広告配信の統合プラットフォームとしての役割を強くアピールしていました。
AdRoll社のセッションでは、ラストクリックからの脱却、正しいアトリビューションの実現を提唱していました。

ラストクリックで広告配信を考える問題点
90%程度の購買活動はオフラインで行われており、デジタル広告のクリック経由ではない
CTRと購買額増加に相関性はないが、ブランドリフトとオフライン購買には相関性がある
インターネット上のすべてのクリックの85%は僅か8%のユーザーによって生まれている(AdRoll独自調査によればその割合はさらに小さく、なんと3-4%のユーザーのみがクリックしている)
Googleでもオークションロジックからラストクリックの要素は除外している

よりRTB取引(PMPなど含む)をマーケティングファネルにおける認知の部分に活用していこうというメッセージが印象的でした。
SwitchBoard社のセッションでは、「data operation=”an approach that combines processes for collaborative data management, tools for automation and monitoring, and a scalable architecture to ensure that data growth is an asset, not liability”」という考え方を提唱していました。具体的に、SQLを用いて横断的に自社のデータにアクセスするためのサービス活用事例の紹介もありました。

SQLをベースとしたdata operationを活用する意義
参照出来る限りすべてのデータにアクセスが可能に
エンジニアリソースを奪うことなく定量的なビジネス状況の確認が可能に

実際にVICEという世界中でメディアを展開する会社で導入し、例えば以下のようなメリットを享受しているそうです。

  • 国毎にばらばらだった複数拠点のデータを統合管理
  • 複数通貨にも対応
  • 売上管理、プログラマティック広告取引管理、在庫予測も実現
  • Buyerが買い付け方を変えてもアラートを飛ばして察知出来る
  • ソフトウェアエンジニアのリソースを割くことなくパブリッシングに集中出来る

プログラマティックの一つの役割にワークフローの効率化がありますが、運用レベルで、工数削減を具体的に実現する事例を聞いて、日本でも標準的になっていくだろうと強く感じました。


いかがだったでしょうか。サーバートゥサーバーやアトリビューション、ビューアブルなど、日本のプログラマティック広告業界でも話題になっているテーマが多く取り上げられていましたね。次回はDAY2のレポートをお届けしたいと思います!どうぞお楽しみに。
DAY2のレポートはこちらから

“PROGRAMMATIC I/O SAN FRANCISCOレポート 前編:DAY1” への0件のフィードバック