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iOS 14、ターゲティング型広告への影響は? 対応方法と今後の広告業界について【WWDC 2020】

iOSイメージ

※本記事は2020年7月14日時点の情報を元に執筆しています。

2020年6月23日にAppleによるWorldwide Developers Conference 2020(以下WWDC20)が開催されました。その中で、2020年秋頃にリリースされるiOS 14のプライバシーポリシーについて、大きな変更が発表されました。対象はApp Storeでリリースされている全てのアプリです。

iOS 14では、IDFAの使用に制限がかかり、ターゲティング型広告(Appleにおける追跡型広告)を含む広告配信を行うことが難しくなると予想されます。

今後、本件の対応をしないと広告枠の収益損失につながる可能性があります。この記事では、WWDC 2020で発表されたIDFAの制限についての解説と、アプリにおける対応方法をご紹介します。

WWDC 2020で発表されたiOS 14のIDFAのオプトイン化

iOS 14よりIDFAの利用がオプトイン方式となります。
今後はアプリやアプリが導入しているサードパーティーのiOS 14 SDKがIDFAを利用して広告配信や広告の効果測定を行う場合、アプリ内でユーザーに対して利用の同意を求める必要があり、同意しなかったユーザーのIDFAは取得できなくなります。

iOS 14でアプリ内でユーザーに同意を求めるダイアログの表示をするにはiOS14SDKの「AppTrackingTransparency framework」が必要です。
これはアプリがどんなデータを収集してどのように使用するかを提示するためのプログラムの仕組みで、「AppTrackingTransparency framework」を含まないアプリはIDFAを取得できないため、IDFAを取得したい場合には必ずiOS 14 SDKでアプリをビルドする必要があります。

ユーザーが端末をiOS 14以降にアップデートした場合、iOS13 SDK以前にビルドされたアプリと、iOS 14公開以降でもアプリをアップデートしなかったユーザーのIDFAは取得できなくなるのです。

Tracking「YES」Tracking「NO」
iOS 14未対応××
iOS 14対応済×

広告収益化への影響

これまでは、主にデバイスに紐づけられる広告IDであるIDFAを利用してコンバージョン計測をしていました。(下図1)

今後、同様の計測を行いたい場合、配信面と広告主アプリ両方でオプトインする必要があり(下図2)、正確な計測が難しくなることが予想されます。
また、Appleの提供する「SKAdNetwork」というフレームワークを利用して、アドネットワークは匿名のコンバージョンとキャンペーンIDと配信面を確認することもできます(下図3)が、これまでアプリだけでなくユーザー単位で追えていた情報が、「SKAdNetwork」では匿名化した情報でしか追えなくなります。配信面アプリ情報はAppleの判断で送らないこともあるなど課題もあり、各社対応を検討中の段階のようです。

①今までのIDFAを利用した広告配信の計測方法(非オプトイン方式)

①今までのIDFAを利用した広告配信の計測方法(非オプトイン方式)
①と④のIDFAを突き合わせることでコンバージョン計測を行なっている
①と④のIDFAを突き合わせることでコンバージョン計測を行なっている

②これからのIDFAを利用した広告配信の計測方法(オプトイン方式)

②これからのIDFAを利用した広告配信の計測方法(オプトイン方式)

③SKAdNetwork

③SKAdNetwork

fluctで確認できているデータでは、IDFAが取得できている場合、動画リワード広告枠では平均CPM1,000〜1,500円ほど、IDFAが取得できていない場合は平均CPM725円ほどで比較すると1.7倍程度の差があり、IDFAを取得できない場合では大きな収益機会損失になることが予想されます。

条件平均CPM
IDFAが取得できている場合¥1,258
IDFAが取得できていない場合¥725

アプリ側で必要な対応について

この機会損失を防ぐためには、以下の対応が必要となります。
iOS 14が2020年秋の公開予定ですので、スケジュール立てて対応することをおすすめします。

  • iOS 14 SDKでビルドするためにXcode12を利用する
  • AppTrackingTransparency frameworkを用いてIDFA許諾のダイアログの実装を行う
  • データ収集許諾ダイアログの実装

データ収集許諾ダイアログの実装について

ユーザーがアプリごとにTracking Permissionを「OK」しない限り、IDFAを使ったターゲティング広告の配信が行えなくなるため、広告収益の低下に繋がります。
そのため、まずはデータ収集許諾ダイアログを実装することが必要です。

ダイアログ等にてiOS 14で新規追加された AppTrackingTransparency フレームワークを用いて、ユーザに情報取得の許可を求めるダイアログを表示します。ダイアログの文言は Info.plist に記述するので後から変更することはできずAppleのレビュー対象となります。
おそらくですが、Appleの意図に沿わず強制的に許可を促す様な文言は注意した方が良いかと思われます。

アプリ内ダイアログ等でユーザーがTracking Permissionで「OK」を選んでもらうためには、アプリ内インセンティブを準備することが有効だと考えています。

アプリ内インセンティブ

例えばコミックアプリでは、ユーザーが「OK」すると無料でコミックを読めるアプリ内チケット/コインを付与する設計などが考えられます。
※現時点でAppleはTracking Permissionを「OK」する代わりに、アプリ内インセンティブを付与することについて言及していません。Appleがそういった施策を「OK」とするか今後も注視する必要があります。

ユーザーが自然と「OK」を押したくなるようなメリットとデメリットの訴求

アプリが無料で運営されている旨を改めて知らせ、その上でTracking Permissionで「OK」にすることで関連性の高いカスタマイズされた表示されるメリットのアピールや、ユーザーが自然と「OK」を押したくなるようなUIの工夫も一案かと思われます。

訴求ポイント

・広告収益はサービス継続のために重要という啓蒙
・拒否すると関連性低い広告が表示され、サービス継続のために広告枠を増やさざる負えない可能性が出てくるというデメリット訴求
・Tracking Permission「OK」の方が押したくなるUI

無償のアプリでしたら、無償版では「データ収集許諾」を「OK」にすることを必須、有償版では選択制などのレギュレーションを設けることも一つの手では?と考えております。

いずれにせよ、iOS 14に向けてアプリ内でどういった施策を打ち、ユーザーのOK率を改善していくか早期検討することをおすすめします。

「OK」を選んでもらいやすいダイアログのイメージ
Twitter社によるカスタマイズされた広告の許可ダイアログ

今後について

この変更について、アプリにおいてはまだ先行きが不透明ではありますが、対応をしないことで広告収益やアプリ運営について大きな影響があると予想されます。

広告計測ツール事業社からはSKAdNetworkの仕様では細かなコンバージョン計測をすることができないことで広告主のニーズを満たせないのでは?との懸念や、SKAdNetworkのデータ不足を補う機能を提供するとの発表をしたところもあります。

Adjust

AdjustではSKAdNetworkに依存しない「アトリビューションハッシュ (Attribution Hash)」を発表しています。これは広告主側のアプリに導入されたSDKでIDFAやアプリIDを匿名化し広告面側アプリから送信されたすべてのIDFAデータを突き合わせてコンバージョン計測を行います。

AppsFlyer

AppsFlyerでは特定の識別子がない場合でも、アトリビューションソリューションを広告主に提供する準備が技術的に整っていると伝えています。

Singular

SingularではSKAdNetworkの情報をアドネットワークから取得し他のデータと統合すると発表しています。

fluctでは引き続き情報収集を行いつつ、広告収益向上のためデマンドと協力し配信方法を模索してまいります。

この記事を書いた人

fluct magazine 編集部

fluct magazine 編集部

日本No.1 SSP「fluct」の運用で培った業界知識やノウハウを記事にして発信してまいります。

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