カジュアルゲーム黎明期から様々なタイトルをリリースし続けるCybergate Technology Limitedさん。本インタビューでは前編と後編に分け、制作~ユーザーの継続までのグロースハック全般に触れていきます。
前編では今と昔のカジュアルゲームアプリの違いや、アプリ制作の起点となるタイトル企画方法までをお伺いしました!長年カジュアルゲーム業界に携わる、下山様ならではの視点に注目です。
お話を伺ったのは・・・
Cybergate Technology Limited
日本マーケティング担当
下山恵氏
インタビュー担当
株式会社fluct アプリソリューション本部
佐藤亜美
事業内容と収益モデルについて
弊社の主力事業はモバイル向けカジュアルゲームアプリの開発・運営です。
アプリの収益モデルは広告とアプリ内課金となります。
カジュアルゲームの今昔
カジュアルゲーム開発を始めたきっかけはなんですか?
市場が盛り上がりはじめていて、チャンスを感じたからです。
我々がカジュアルゲーム事業に参入した頃は、単純な操作と単純なゲーム性をかけ合わせたカジュアルゲームが市場に出始めた頃でした。当時、プログラマーがアプリ開発経験があった事もあり、今に至ります。
カジュアルゲーム市場黎明期から長年開発・運営に携わっているのですね!当時と今のカジュアルゲームの違いはありますか?
一番の違いは、ゲームの設計そのものです。
昔はゲーム自体がすごく単純な作りでした。ですが、これは今は通用しないですね。昔は、スマホを持ちたてのユーザーが多く、カジュアルゲームアプリ自体が珍しかったので、画面を連打するだけという単純なゲームでも市場で戦う事ができました。
ですが今は、ゲーム全体に高いクオリティが求められています。
制作側の視点では、1タイトルあたりの制作日数が倍以上になりました。昔は、デザイン+開発で3か月程度でも勝負できたものが、今では最低半年くらいは必要になってきています。
今のカジュアルゲームにクオリティが求められるのは、その他にも理由があるのでしょうか?
一番大きな要因は、ユーザーの暇の潰し方が変わってきた事だと考えています。
ここ数年で、アプリのTikTokやYoutubeがユーザーの可処分時間を獲得していきました。
カジュアルゲームの本質は、いかにユーザー可処分時間を獲得できるかにあると思っているので、暇の潰し方が多様化すればするほど、高いクオリティのコンテンツが求められます。
その他の理由ですと、ストアのUI変更で無料アプリランキングが見られる階層が深くなったことも大きいと思います。また、広告出稿からのユーザー獲得の主流化でオーガニックユーザーが減少しているのも一因です。
アプリ開発の流れ~企画から肉付けまで~
開発からリリース後の運用までいくつかフェーズがありますよね。まずは、企画段階の流れを教えてください
企画の第一段階はアイデア出しです。流れは、アプリストア内のヒットタイトルの特徴を研究し、その要素を分解していきます。分解した要素に、自社ならではのスパイスを加えます。
それ以外のアイデア出しのパターンもあります。
社内の会話から生まれるパターンです。会話ベースのアイデアをテキストに残し、その後アイデアに肉付けしていきます。具体的には、まず、面白いアプリ名を考え、そのアプリ名に沿ったストーリーやキャラを考えています。
また、アイデアがひらめくタイミングにも、パターンがあります。
会社の中でアイデアを出すこともありますが、その時出るアイデアよりも、食事をしている時・寝る前に出たアイデアの方が良いことが多いです!
アイデアへの肉付けは、どのような流れで行われるのですか?
大きく分けて2ステップあります。
この時点のデザインはあくまでもラフレベルです。主旨・企画を理解したデザイナーがいくつものパターンを提案してくれます。この作業でディレクター、プログラマー、デザイナーのチーム全員が同じイメージを持つことが出来ます。
ここでメイン画面に盛り込みたい要素を詰め込みきれないときは、制作を諦める事もあります。UIが複雑になってしまい、カジュアルゲームには向かなくなるためです。
具体的には、現時点で必要な機能に絞り、なるべくボタンを少なくするように心がけています。機能を詰め込みすぎない、そもそも見せないことは大切です。
例えばよくある、「レベル50以降で解放されます」などの機能は、はじめの段階ではなるべく見せないようにしています。
既にコンテンツが一定量ある場合、単に難しく見えて逆効果となることが多い為です。
私自身、いろいろなゲームに触れています。その中で、長過ぎるチュートリアルを終わらせることが出来ないアプリが多々あります。ユーザーが重要なコンテンツにいかに早く触れられるかが大事だと考えています。
このStep2の段階で、ほとんど動画リワードへの導線も決まります。
ヒットアプリについて
御社は多くのヒットを出されていますが、御社の考えるヒットアプリの特徴は何でしょう?
いくつかあると思いますが、一つはやはり直感的に操作が分かる事、です。
ユーザー誘導、つまり「ユーザーが今何をすれば良いのか」が自然と促せるよう心がけています。チュートリアルが終わった段階で、次に何をするかユーザーが分かる状態になっていることが大事だと思います。
それから、どこかで触れたことのある操作方法だけどゲーム性が昇華されている、これも大事だと思います。このあたりは、後編のインタビューでお話する継続率向上施策と関わってくるかと思います!
あとは、ひらめきですね(笑)
テスト段階で、絶対いける!と思ったものは、最近になって当たるようになってきました。前述のヒットアプリの要素分解を行えている成果かもしれません。
絶対いける!と言い切ることで私自身はもちろん、他メンバーの高いモチベーションが保てる説もあります(笑)
御社タイトルでのヒット作について教えてください
現在の弊社タイトルは主に2軸で、女性向け系タイトルと、ドット絵系タイトルです。
女性向け系タイトルのヒット作は“ハコハコ!商店街”です!ユーザーの年齢層は、ティーンが中心で、女性が多いです。ゆっくり遊べるので、お子さんと一緒に遊んでいるユーザーさんもいます。海外での支持も高いです。
弊社のドット絵タイトル全般は圧倒的に男性ユーザーが多いです。年齢層は25~30代で、女性向けタイトルより年齢層が高いです。
次回!カジュアルゲームに最適な継続率向上施策とマネタイズとは?
後編に続く
“キーワードは「ユーザー誘導」 市場で勝てるゲーム設計とは?ヒットカジュアルゲーム徹底解剖[前編]” への0件のフィードバック