ヨーロッパのインターネット広告市場ってどうなってるの?(前編)

4月になり、真新しいスーツに袖を通す方々をよく目にします。

毎年入学式や入社式を迎える頃、桜が咲いているのか気になるのですが、VOYAGE GROUPの入社式である4/2には咲き始めていたようです。

翌日、台風のような風が吹き荒れた後も桜はなお咲き続けていました。新しく入社したクルーにも、ぜひそれぞれの花を咲かせてもらいたいですね!

さて、以前アメリカと日本のSSPの違いってなに?(前編)」で、アメリカのSSPを調査する中で面白い共通点をみつけました。

それは各社アメリカ本社以外に、ヨーロッパに支社を置いていることです。

日本ではヨーロッパの広告市場についてピックアップされることはそれほど多くありませんが、広告先進国とも言われるアメリカのSSPは既にヨーロッパに注目しているようです。

そこで今回は、ヨーロッパの広告市場について前編・後編に分けてお送りしたいと思います。

ヨーロッパのインターネット広告市場とは?

これまでヨーロッパ各地で行われてきた広告業界向けのイベントにIAB Europeが主催する”Interact”があります。

今年も2011年に続きバルセロナにて、”Interact Barcelona”が5月末に開催されます。

”Interact”のプレゼンテーションでは、毎年のヨーロッパのインターネット広告費が紹介されています。

各国のデータを比べるために、ここでは2010年のデータを元にヨーロッパの広告市場を見てみることにしましょう。(2010年の平均為替レート:1ユーロ≒1.3279USD≒115円 )

ヨーロッパのインターネット広告費(€bn)

535806_327487477305225_2113914327_nグラフ①

資料:IAB EuropeScreendigest

この資料によると、2010年のヨーロッパのインターネット広告費は177億ユーロ(2兆355億円)で前年比115.3%です。

2009年(前年比104.5%)は微増だったものの、2008年(前年比120%)以来の2桁台成長をみせました。

アメリカと比べると、2010年のアメリカのインターネット広告費は260億ドル(2兆2500億円)だったので、ヨーロッパの数字を足し合わせてもアメリカが上回るという結果になりました。

 

国別のインターネット広告費(€mn)

523687_327487750638531_70323223_nグラフ②

資料:IAB EuropeScreendigest

国別データを見てみると上位6か国がヨーロッパ全体の74%を占めるという結果になり、中でもイギリスが47.7億ユーロ(5485.5億)で他国を圧倒しています。

日本と比べてみると、2010年の日本のインターネット広告費は7747億なので、このイギリスに広告費第3位のフランスの広告費を足し合わせたくらいの数字になります。

 

広告種別成長率とシェア(€bn)

541131_327488117305161_777901563_nグラフ③

資料:IAB EuropeScreendigest

種別データを見ると、依然として広告費シェアでは検索広告が多いものの成長率はディスプレイ広告がダントツの伸び率となっています。

ヨーロッパでもディプレイ広告は大変注目される分野となっていることがよくわかります。

 

モバイル広告

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グラフ④

資料:eMarketer Inc.(Europe Tops US in Mobile Ad Response Rates

ヨーロッパのモバイル広告を見てみると、やはりイギリスが最も大きな市場で、その後にドイツ、フランス、イタリア、スペインと続きます。

国別インターネット広告費の順番と似ていますね。ベルリンに本社を置く、madvertise(モバイルアドネットワーク会社)のCEOのCarsten Frien氏は”西ヨーロッパのスマートフォンとタブレットの利用は爆発的に伸びていて、初めてスマートフォンの出荷がPCやノートパソコンよりも多くなった”と、2012年2月のインタビューで話しています。

ヨーロッパにおいてもモバイルデバイスの普及とともに広告市場が更に成長することが予測されます。

中でも、先日発表された2011年のイギリスのモバイル広告費は、前年比157%で2億320万ポンド(264億1600万円)でした。

2008年は2860万ポンド(37億1800万円)だったのでこの3年間で大幅に成長してきたことがわかります。

また、ディスプレイ広告においても前年から186%成長し、6890万ポンド(89億5700万円)でした。

※2012年4月10日現在の1ポンド=130円で計算

 

今回のデータは、ヨーロッパの25か国のデータを元に見てきましたが、ひとえにヨーロッパと言っても国によって規模に大きな違いがあることがわかりました。

これは日本とアジアの諸外国で「アジアの広告市場」と一括りにするのが難しいのと同じだと言えます。

ただその成長速度は違えど、ヨーロッパのどの国もインターネット広告市場は伸びてきていて、中でもディスプレイ広告の伸び率は目覚ましいものがあります。

PC・モバイル共に伸びていく中で、確実にSSPの需要も高まっていくと予想できます。

そこで次回は、ヨーロッパのSSP事情について調べてみたいと思います。お楽しみに!

参考資料

IAB EuropeScreendigestが今回調査したグラフ①~グラフ③において、対象としていたのは以下の25か国です。

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