今回は人気美少女アニメ、「トリニティセブン」のゲームアプリ、「トリニティセブン -夢幻図書館と第7の太陽-」(以下、トリソル)の開発会社、ポッピンゲームズジャパン株式会社(以下、ポッピンゲームズ)に訪問しました!今回はゲーム事業部部長、光森さんと、トリソルのプロデューサーを務める小林さんにインタビューしました!
お話を伺ったのは・・・
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会社紹介
ポッピンゲームズジャパンの事業内容を教えてください
光森さん:事業は主に2つで、ゲームの開発・運営事業とソフトウェア開発事業です。ゲーム事業での主なプラットフォームはスマートフォンアプリですが、Html5ゲームもリリースを控えています。
自社独自で開発・運営を全て担当するプロジェクトと、他社様との協業で開発・運営を行うプロジェクトの両方があります。
今日のインタビューで主に扱われるトリソルは他社との協業によって開発された作品です。このゲームは我々の代表作の1つとなりました。それ以外の代表作としては「ようこそムーミン谷へ(2015年5月リリース)」やピーターラビットのIPを用いたタイトルが複数あります。
お二人の会社内での役割について聞きたいです
光森さん:私はゲーム事業部長を務めており、ゲーム事業全体のマネジメントを担当しています。ゲーム事業部全体の計画立案や意思決定を行ったり、ルールを策定したり、または各ゲームが少しでも良くなるよう定期的にプロデューサーと話し合っています。
小林さん:私はトリソルの開発運営プロデューサーを務めています。開発やプロモーションの予定を調整したり、アップデートの内容を決定します。トリソルの協業会社さんであるエイベックス・テクノロジーズ株式会社(以下、エイベックス)さんとのやり取りも私が担当しています。
ゲームの制作が決まる過程
トリソルはどういった制作背景を持っていますか
小林さん:ご縁ですね。以前パブリッシャーさんであるエイベックスさんの「深夜!天才バカボン バカ―リングで対戦なのだ!」を受託開発したことがあり、それがリピートに繋がったと言えます。
光森さん:そうですね。(エイベックスさんと)「また一緒に何かやりましょう!」というお話をしていました。ちょうどその頃、エイベックスさん側で、トリニティセブン劇場版映画の制作が進んでおり、公開のタイミングでゲームを作りたい!というご要望がありました。そこから、具体的な提案をさせていただいた背景です。両社のタイミングが絶妙にマッチしていましたね(笑)
ご縁があったのも、過去タイトルで信頼関係が出来ていたからなのですね!協業タイトルの制作は普通どのように決定することが多いですか?
小林さん:大きく分けて2つです。一つは、我々が協業会社さんや版元さんへの営業を通して案件をいただくパターンです。二つ目は、協業先企業さんのお問い合わせから、案件が入ることです。お問い合わせのきっかけは、アプリストアのフィーチャーをご覧いただいたケースが目立ちます。そういえば、昨日(6月18日)ちょうどフィーチャーされたアプリがあります。
光森さん:そうですね。昨日は「ムーミン 〜ようこそ!ムーミン谷へ〜」がApp Storeの「今日のゲーム」に掲載されました。こういったものを見て、中国や英語圏など海外の企業様から問い合わせをいただくケースも多いです。
海外の案件は、ローカライズの面で難しさを感じることはないでしょうか
光森さん:確かに、言語が多い分アップデートやCS 顧客サービス(Customer Service)の略。商品・サービスを購入、あるいは購入しようとしている顧客の不満や疑問を解決するための企業活動。 が大変にはなります。それ以外にもゲームやIPによって様々な問題につきあたります。その都度対応していくしかないですね。ただ、弊社のゲームの場合、大抵は最初からグローバルを意識して作っていますので、後から大きな問題は出にくい方だと思います。
協業タイトル制作時の役割分担
協業会社さんと貴社の役割を教えてください
小林さん:トリソルのケースで説明します。企画は我々と、パブリッシャーさんであるエイベックスさんが共同で行いました。また、開発・運用は我々、プロモーション・マーケティングはエイベックスさんが担当でした。監修は版元さんである株式会社KADOKAWA(以下、KADOKAWA)さんです。そしてふんどしパレード株式会社(以下、ふんどしパレード)さんからご協力をいただき、ゲームのエンジンを提供していだたきました。
協業会社(版元)さんが存在する分、担当する範囲も様々だと思いますが、どんな役割分担になることが多いですか?
小林さん:そうです。版元さんによってまちまちですが、一般的に、キャラクターの原画やストーリーは版元さんにご提供いただくことが多く、それらの資料を元にゲームに落とし込む作業は我々が担当します。トリソルの場合も、版元さんであるKADOKAWAさんにキャラクターデザインとストーリーを担当していただき、キャラクターの動き方やゲームの構造設計は我々が担当しました。
光森さん:版元さんの志向性によって、我々のやることが変わる場合もあります。我々が担当した分の進捗状況を版元さんに定期的に確認いただく「監修」を重ね、パブリッシャーさん・版元さん・我々の意思にずれがないように制作を進めています。
小林さん:監修を重ねていくことで協業会社との信頼関係が深まると、意思統一の手間が減るので制作がよりスムーズに進みます。
光森さん:そうですね。なので最初のすり合わせがとても重要です。出来るだけ早い段階で監修のフローを整え、NGラインを明確にしていきます。制作を始める前からイメージを統一し、よりスピーディーに開発を進めるように心がけています。
企画からプロモーションまでの流れ
トリソル完成からプロモーションまでの過程を詳しく知りたいです!
小林さん:ゲームが作られる過程は基本的に〔企画〕→〔マネタイズの仕組み考案〕→〔制作〕→〔公開〕→〔プロモーション〕になります。
〔企画〕→〔マネタイズの仕組み考案〕→〔制作〕→〔公開〕→〔プロモーション〕
我々は最初にパブリッシャーさんであるエイベックスさんと版元さんであるKADOKAWAさんに企画内容の説明をしました。この段階で企画の粒度は細かめに決まっています。
〔企画〕→〔マネタイズの仕組み考案〕→〔制作〕→〔公開〕→〔プロモーション〕
その後すぐ制作を始めます。エイベックスさんとKADOKAWAさんには我々が開発し納品したものを定期的に確認いただく形式です。一部キャラクターのフレーバーや監修の部分は打ち合わせしながら決めます。このようなやり取りが続くことで、ガイドラインが自然に固まっていき、制作が完了します。
※マネタイズに関しては後述します。
〔企画〕→〔マネタイズの仕組み考案〕→〔制作〕→〔公開〕→〔プロモーション〕
自社パブリッシングの場合、我々が広告代理店への依頼を通じてプロモーションを行います。トリソルに関してはパブリッシャーさんであるエイベックスさんが公開前後のプロモーションを担当しました。公開後のアップデートはプロモーションのタイミングに合わせて予定を組み、開発を続ける形です。
光森さん:トリソルの制作は、エイベックスさんを通じて原作者さんと会えていたので、よりスムーズに進みました。納期も計画通り収まりました。
マネタイズに広告を取り入れた理由と背景
〔企画〕→〔マネタイズの仕組み考案〕→〔制作〕→〔公開〕→〔プロモーション〕
トリソルの課金と広告の売上比率を教えてください
小林さん:課金からの売上が7割、広告からの売上が3割です。
マネタイズに広告を取り入れた理由を聞かせてください
小林さん:元々のゲームエンジンが広告ありきで設計されていたのが主なきっかけです。また、弊社の他のタイトルにも広告が入っていたため、収益面で広告の重要性を意識していました。
光森さん:カジュアルゲームと広告は相性がいいと考えています。そのため今後リリースするゲームも課金と広告のハイブリット型でマネタイズしていくことが多いと思います。協業パートナー様によっては、弊社のハイブリット型マネタイズのノウハウありきでプロジェクト立ち上げを考えてくださる場合もありますね。広告の中でも特に高い可能性を感じているのが動画リワード広告です。
今後も課金と広告のハイブリット型マネタイズをする理由を聞かせてください!
小林さん:広告マネタイズは課金コンテンツの補助的な要素として有力だと考えています。課金単価を上げることは難易度が高いためです。なので広告視聴ユーザーさんをサブ課金ユーザーさんとし、LTV顧客生涯価値(Life Time Value)の略。一人の顧客が会社のサービス利用を始めてから終わりまでの期間内、会社にもたらした利益を計算したもの。を上げました。こうすることで、広告をゲームの世界観に溶け込ませ、ユーザーメリットを与えながら新しいマネタイズができます。結果、多くの人に楽しく遊び続けてもらえます。
パブリッシャーさんであるエイベックスさんは広告を用いたマネタイズに賛成でしたか?
小林さん:エイベックスさんは広告が及ぼすユーザーメリットの大きさにご理解がありました。また、特に広告マネタイズに抵抗感はもっていなかった事が大きいです。ただし、配信される広告案件の制御に関してはIPモノとしては非常に繊細なので、ここはfluctさんと一緒に案件精査に取り組んでもらっています。
動画広告導入の背景と、動画インステ活用法
動画リワードや動画インタースティシャル(以下、動画インステ)の導線はどのように決まりしたか?
小林さん:開発協力会社であるふんどしパレードさんのヒット作の導線を使用しました。ふんとしパレードさんの開発エンジンの中の広告枠や動画リワード導線が、トリソルにもマッチしていました。特に動画リワードと動画インステはそのまま活用しても違和感がなかったです。その元々の導線に、IPに合わせたスパイスを加えた感じです。
動画リワードに加え、動画インステを合わせて導入した理由とそのメリットは何でしょうか?
小林さん:色んなタイプの動画広告があった方が、色んなユーザーさんの好みに対応できると思いました。動画リワードは報酬がある代わりにプレイを止めて視聴しないといけません。動画インステはプレイ中に視聴してもスキップ可能なので気軽です。なので両方活用することにしました。それでまた新しい活用法に気づいたんですよ。
新しい活用法とはどのようなものですか?
小林さん:動画インステのリワード的利用法です。ユーザーさんの動画インステの視聴に対し、軽い報酬を付与すると動画リワードよりも気軽に見れます。それ以外にも動画リワードを見ることでログインボーナスが増えたりする仕組みも構築しました。こういった活用によってより安定的なCPMを目指しました。
Firebaseの利便性とfluctの魅力
現在利用中の事業社と配信構成について教えてください。
小林さん:fluctと他社SSPを利用していて、この2社をFirebaseGoogleのモバイルおよび Web アプリケーションのバックエンドサービス。 Remote ConfigFirebaseのRemote Configの機能は、A/Bテストが可能。ここでは広告事業社の出し訳のA/Bテストを行う。で配信比率分けしています。
fluctを導入した経緯を聞きたいです。
小林さん:fluctのFirebaseサポートが充実していたからです。
元々、他社SSP1社のみ導入していました。ですが、複数の広告事業社のパフォーマンスを比較しながら配信すること、そして、ストアのアップデートなしで広告事業社の比率を変更することの2点には魅力を感じていました。また、それを行う方法も模索していました。
Firebase Remote Configは同枠同時期で広告事業者の比較検証が可能です。そして、ストアのアップデートなしで広告事業社の配信比率を変更する事もできます。
Firebase Remote Configで行う、広告事業社の配信比率分けのメリットを教えてください。
小林さん:片方の事業社に問題が生じた場合、問題のないもう片方の事業社に切り替えられる点です。実は、過去に広告が原因で不具合が出てしまい、ユーザーさんが全くゲームで遊べなくなったことがあります。このような時に、問題が生じた方を止めて、もう片方の広告事業社に配信を切り替える事で、ユーザーさんがサービスの利用を継続できる点がリスクヘッジになると思いました。
別のメリットだと、両SSPの収益性のデータをフェアに比較できる点です。同タイトル同枠同数同時期という、同条件下で両SSPのパフォーマンスをみれるのはすごく魅力的です。
ほぼリアルタイムにSSPの配信比率を切り分けられる点もかなり心強いと思います。Firebaseの管理画面で、比率分けの設定をし、アプリに反映されるまでのタイムラグが2時間弱です。この点が色んな状況に対応しやすく、よかったです。
fluct SSPを利用してみて、良かったところを教えてください。
小林さん:fluctはサポートが手厚いです。fluctのようにエンジニアさんがついて、実際に導入まで支援してくださる会社はほぼなかったです。
あくまでも、開発のメインはゲームそのものです。その合間に広告実装を挟むため、そこに工数がかかりすぎるのは負担です。なので、サポートがあって、fluctの導入がスムーズにできた点は本当に良かったと感じています。
fluctの収益面についてはいかがでしょうか
小林さん:収益面はいい状態です。動画リワード、バナーともにGoogle Ad Exchange(以下AdX)は特に良いと思っています。AdXとfluctSSPを同枠で配信しているので、収益機会が多くなっています。
最後に、何か伝えたい事をお願いします!
小林さん:トリニティセブンのファンの方に向けてメッセージです!本日(6月19)、新しい章が追加されます。それに加えてトリニティセブンらしい新規の開発なども進めています。トリニティセブンのファンの皆様に愛されつづけてもらえるタイトルになるように、より改善していく意気込みです。今後ともご応援よろしくお願いいたします。
“ポッピンゲームズジャパンの人気IPゲームプロデューサーが語る!広告と課金のハイブリッド型マネタイズのメリットと動画広告の活用法” への0件のフィードバック